<71> マインのイチオシ「キャベツと豚肉のふわとろソース」【9/26追記あり】
マインは基本的に食べることが好きだ。
子供のころから、食べなくて困ったということはまずない。好き嫌いもほとんどなく、「飽きた」と言ったこともない。相変わらずの親バカぶりを発揮すれば、ごはんについても、マインは本当に手のかからない、いいコである。
高齢になっても、それは変わらない。食が細ることがないというのは、本当に安心だ。「食べてさえいればだいじょうぶ」と単純に信じている私にとって、これほどありがたいことはない。
だが、18歳になったころから、ちょっと様子に変化があった。
ごはんを出してから食べ始めるまでに、すごく時間がかかるようになった。というか、しばらくぼーっとしているのだ。
でも、食べ始めると黙々と食べるので、食欲がないというわけではない。
要は、聴覚、視覚に続いて、嗅覚も鈍くなってきたのだと思う。認知機能が衰えてきたということもあるはずだ。
ごはんだとわかれば全部食べるのだから、それでもいいのだと思えないことはない。
ただ……なんとなく……さびしい。
ぜいたくな望みではあるが、食べることが好きなら、「おっ!」という感じで食べはじめてもらえないだろうか。
そうでなくても、老犬の生活はたいがい「地味」である。大きな楽しみを与えてやれることは少ない。出かけるといっても、遠出をするよりは近所の方が落ち着くようだし、おもちゃで遊ぶなんてことも、もうない。
だから、せめてごはんは楽しくあってほしい。
そこでまず試したのは、いろいろな食材をミキサーにかけたとろとろごはんの上に、ひき肉を炒めたのやら、鶏肉をゆでて裂いたのやらをトッピングすることだった。
この方法は当初こそ「おっ!」という反応を引き出したが、長くは続かなかった。
それは私のやり方にも問題がある。というのは、いまのマインの状態でガツンとくるほどの効果を求めるなら、かなりの量の肉類を盛らなければならないだろう。
でも、そういうわけにはいかない。まだ腎臓はだいじょうぶらしいといっても、肉類のタンパク質は控えめにした方がいい。というわけで、むしろ日々、せっかくのトッピングをついつい少なめにしてしまったりしていた。
だが、そうなると、ちょびっとのトッピングはほぼ認知もされず、やがて単に食べにくいものとして、とろとろごはんを舐めるように食べた後、底に残されてしまうようになった。
うーん……。
というわけで次の手として考えたのが、「とろとろごはんに入れる食材の中でも、好きなものは別にしてとろとろトッピングを作る」
これがウケた。
マインの好きなものといえば「キャベツ+豚肉」。この2つの食材を基本のとろとろごはんとは別に煮て、ミキサーにかけてみた。
「とにかくミキサーにかける」というのもワンパターンだが、私が日頃から頼りにしているミキサーはここでもいい仕事をしてくれて、思っていた以上にうまい具合に「ふわとろ」のトッピングができた(豚肉は、脂のついたこま肉だったのだが、正直、こんなになめらかになるとは思っていなかった)
で、煮汁でゆるめながら、ベースごはんの上に乗せるようにキャベツと豚肉のソースをかけると……
目の前に出すなり、マインは「おおっ!」とばかりに食いついたのである。
以来、ブームは続いていて、いまのところ、衰える気配はない。
この命名「キャベツと豚肉のふわとろソース」、何がいいのか、おめざでもおやつでも喜ぶ。
そういう時、これまでは「ヨーグルト+すりおろしりんご」とかにしていて、私からすると素敵な組み合わせだと思うのだが、「キャベツ+豚肉」に負ける。
それでも飼い主としては調子に乗ってというか、しつこくがんばって、ふわとろソースのバリエーションとして「白身魚のソテーのトマトソース煮込み」とか、「鶏肉とトウモロコシの豆乳クリームシチュー」とかもやってみたのだが、それほどの感動はもらえなかった( おいしそうだったのに……)。
まあいい。マインにとっては「キャベツ+豚肉」が一番。 よくわからないが、喜んでくれるならそれでいい。
ねえねえ、まちゃん、おいしかったかなー?
うん、そうだね、そうしよう。あれにしようね。
【9/26 追記】
いつも鍼灸治療をお願いしている星野先生に、キャベツはシュウ酸が多いので、茹でこぼすこと(茹でると水中に溶け出す)、カルシウムと一緒に摂ること(カルシウムと一緒に排出される)とのアドバイスをいただきました。(煮汁も好きだから飲ませてたけど、やめといたほうがいいみたい……ふう、勉強しないと……汗……いつもありがとうございます!)
お読みいただき、ありがとうございました。
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