<43> 17歳になりました
マインが17歳になった。
17歳にもなると、単純にうれしいと言うより、しみじみしてくる。この17年間を思い返すと感慨深い。
年齢のわりには元気と言っていいのだろう。でも、元気だと言っていると、いきなり調子を悪くするので、あまり大きな声では言わないほうがいいのかもしれない。
もっとも、耳はもう多分全然聞こえていないし、目は光と影がゆらゆら見えるくらいだろうし、トイレもよくわからなくなっている。まあ、そんなことはなんでもない。病気といえば、歯周病とお腹の脂肪腫と足の過誤腫くらい。薬は体調維持のための漢方薬とサプリのみ。2週間に1回、H先生に鍼灸で体の調子を整えてもらうようになってからは、かかりつけの病院に行くことはなくなった。食欲もあるし、散歩もする。
散歩に行けば、しばらくぽちょぽちょ歩いているうちに、関節が動くようになってきて、ちょっと走ったりもする。これだけでも十分に喜ぶべきことなのだけれど、最近は走ろうという気になるまで、時間がかかるようになってきた。
その間も止まらなければいい、歩き続けているなら歩かせようと思っていたけれど、今日、ふと立ち止まって動かなくなった。ドキドキした。大げさだけれど、その一線の意味は大きいと思っていたのだった。いよいよかと抱き上げた。
いつものように、下ろせ下ろせ、自分で歩くとジタバタしてくれないかと期待したが、しなかった。風もなくて暖かかったので、近くの公園のベンチにすわって、しばらくマインを抱いて背中をさすりながら、春の陽の光を浴びた。こういう時間が増えてくるのかもしれないと思いながら。
でも、さあ行こうかと立ち上がると、自分で歩くと言い出した。下ろすと案外スムーズに歩いた。日光で体があたたまったのだろうか。よかった。
写真を撮ってみると、まだ瞬間的にはいい表情をしてくれる。若いころのように、ずっとこんな顔をしているわけではないけれど、この顔ができる力が瞬間的にでも出せるなら、まだもうしばらくは一緒にいられるかなと思う。一日ずつ、一日ずつ。
ただ、誕生日クライシスというのか、15歳になってすぐ椎間板ヘルニアになったし、16歳になってすぐてんかん様発作を2回起こした。大丈夫だろうか。心配しすぎもマインのことならではなのだけれど、いちいち気になる。冬の寒さを超えたら、春は春でちょっとこわい。
お読みいただき、ありがとうございました。
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