老犬とポラロイド

いつまでも続いてほしい、でも決して長くはない、老いゆく愛犬との大切な日々。

<41> 大きなブランケットで老犬ぬくぬく

 この冬はとにかく寒い。散歩もさせたいのだけれど、これほど寒いと躊躇してしまう。晴れていれば、昼間に10分程度は出るが、なにしろ体が地面に近いダックスフンドのこと。いくらニット+腹巻+コートで臨んでも、アスファルトの冷気を思えば無理は禁物。そそくさと撤収する。

 家の中ではひたすらぬくぬく。エアコンは23度設定で入れっぱなし、乾燥もよろしくないので加湿器もつけっぱなし。その状態になってから丸々一ヶ月の検針票が先日ポストに入っていた。まあ、夏のエアコン入れっぱなしの時期とほぼ同じ。「電気代は部屋の内外の温度差次第。夏の温度差が10度とすると、冬の温度差はそれ以上だからもっと高くなる」という話を聞いて内心ハラハラしていたが、安くはないにしても、なんとかなる範囲だったのでほっとした。

 寒いせいか、最近のマインはよく寝ている。東洋医学的にも、冬は万物が静かに落ち着いている季節で、無理に活動するより、ゆっくりする方が自然らしいので、それでいいのだろう。愛用の座布団の寝床に、人間用のブランケットをシーツ代わりに1枚敷き、上掛けには小さいベビー用ブランケットを2枚、さらにもう1枚、人間用のブランケット、それがマインの冬布団一式である。

 犬を飼っていない人にこの話をすると、ベビー用はともかく、なぜ小型犬に人間用のブランケットがいるのか、しかもなぜ2枚なのだと、怪訝そうにされる。そこで私は、1枚は完全に下に敷くためであり、もう1枚は四方から巻き込んですっぽりとくるむためだと力説する。ここで大抵はさらにあきれられたり、笑われたりするのだが、こちらは大真面目だ。私もついつい意地になって、夜はそのうえ、貼るタイプのお灸「せんねん灸太陽」を腹巻の上からお腹と背中に1個ずつ貼るのだとまで言うと、相手はこちらの真剣さに気圧されてくれる。でも、もっといろいろな工夫をしている老犬の飼い主さんはたくさんいる。老犬はそれほどかわいいし、愛おしい。

 自分がここまで人間の誰かに尽くすことができるかと思うと大いに疑問である。たとえば最近、マインは夜中の3時ごろ、「小腹がすいちゃった」と起き出すことがある。散歩が少なくなってきてからなので、昼間疲れて夜ぐっすりのパターンが崩れたのかもしれない。そうであってもなくても、老犬のリズムはしょっちゅう変わるので、今さら「そんな癖をつけてはいけない」と言うつもりはなく、「はいはい」と起きては、スープ(マインは水をあまり飲まないので、ごはんを作る時、煮汁を多めにしておいて、それを一日中、何かと飲ませている)を温めてやったりしている。でも、人間だったら、どんなに大好きな人でも、夜中の3時に「小腹がすいた」と言われたら、相手をしないかもしれない。

 会わなくなって1年がたった(もう丸1年なのだ)彼だったらどうだったかと思わないではない。一緒にいた期間、彼はいつもとても格好よかった。でも、格好悪くなってヨボヨボになったりするのも、本当は見たかった。お互いに老眼がきつくなってきて困ったね、以前は小さなフォントがカッコいいとか言ってたけど、最近若い子の名刺が読めないよね、というあたりで終わってしまったけれど、もっとそんなことを言って笑い合いたかった。転んじゃってさとか、かたいもの噛めないよねとか。でも、そうなったらそうなったでうんざりしただろうか。

 犬は一緒に年を取れないから愛おしいところもあるのだろう。比べるものではないとしても、やっぱり特別だ。この人生にマインがいてくれてほんとうによかった。

 

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マインのくるみ方の例1〜

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マインのくるみ方の例2〜

 

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関係ないけど、寒くても元気そうだった某ブランドのウインドーの犬

 

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