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老犬とポラロイド

いつまでも続いてほしい、でも決して長くはない、老いゆく愛犬との大切な日々。

<17>老犬うろうろ、トイレの失敗

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 マインは家の中でトイレをする。だが、15歳後半から時々失敗するようになった。失敗するのはもっぱら「ちー」。「う」は場内。

 寝起きでぼーっとしている時が一番危ない。大抵は私が仕事をしている横で寝ているので、起きたら「こっちこっち」と誘導してやるのだが、そうでなければ、「あ、行き着かなかったんだな」というあたりでしていることが少なくない。

 もっとも、マインの名誉のために付け加えておくと、私が留守にしている間でも、まだそこそこちゃんとできている。そうなると誘導はたいがい余計なお世話ということになる(だが、自分で行くと往往にして背中にブランケットを亀のように乗せたままトイレでしゃがんでいるので、そっちが濡れていたりする)。

 まあ、そんなこんなで、16歳になった今、トイレ以外の場所でしてしまうことは平均して1日に1回あるかないかくらい。尿意を感じにくくなっているのもあるだろうし、トイレに着くまで我慢するのも難しくなっているのだろう。ましてや最近、努めて水分を摂らせるようにしているので、量も回数も多い。

「あ……」とは思うが、もう注意はしない。マインは小さい時、トイレはすぐに覚え、それ以来、完璧だった。かつて広い家に住んでいた時、私の仕事部屋は最も北にあり、トイレのある居間は最も南にあった。私の仕事部屋にいる間に「ちー」がしたくなると、長い廊下を経てはるばるトイレに行き、用を済ませたら戻ってきた。

 そんなマインだったから、今になってできなくなるのは、本当にどうしようもないのだと思う。最初はちょっとショックで「どうして?!」と思ったりもしたが、だんだん慣れてきた。15年半、困らされたことなどなかったのだから、今は黙ってさっさと後始末をするだけである。

 15歳になって椎間板ヘルニアを発症した時に遅まきながらフローリングに約50センチ四方のタイルカーペットを敷き詰めたのが、こんなところで便利に思える。並べて置いているだけなので、濡れた部分だけはずして、専用と決めた硬いブラシでゴシゴシ洗えばすむ。

 たまに「なぜ、あえてそこで……」とやや気分が滅入るのは、敷き詰めてあるカーペットの境目、しかも4枚が接する角にした時。そういう時は結局4枚ゴシゴシ。干すにも結構場所を取る。しかもフローリングにも響いているので、染みないようにフキフキ。どんなに大量でも1枚の真ん中にしてくれれば助かるのだけれど。

 後始末をしている間、マインはいつもそばで見ている。「悪かったね」と思っていると勝手に解釈して「いいよいいよ、洗えばすむよ」と一応言っておく。

 先日ちょっと面白かったのは、いつもの夜食の後のこと。普通はまたすぐに自分のベッドに戻って寝るのだが、その日はいつまでも困ったように歩き回っていた。

「どうしたの、落ち着かないの?」と抱き上げてさすっても「おりる、おりる」とバタバタ、腕から抜け出そうとする。そこでおろすとまた歩き回る。

 何かで神経が高ぶっているのかもと思い、棒灸をしてやるとようやく寝た。

 ところがそれから、お風呂に入った後、脱衣所の床に置いた服を片付けようとして「ん……?」 一番下になっていたトレーナーが濡れている。

 顔を近づけ、においでわかった。

 このところ、ずっと暖房を入れていたから脱衣所の扉はいつも閉めていたが、春めいてきたその日は入れないですんでいたので開けてあった。夜食の後、久しぶりにそこにふと入り込んだ時にしたくなったのだろう。

 いつまでも歩き回っていたのは、私が「ちー」にまったく気がつかなかったから?「早く拭いておかないと、あとで気づかずに踏んじゃうよ」とでも? 思い出してみれば、どうも脱衣所方面に何度も向かっていたような気までしてくる。

 まちゃん、エライ!なんてケナゲ!教えてくれてたのに気がつかなくてごめんね……。

 これでニマニマ喜んでいるのだから、はたから見たら甚だ愚か。そもそも都合のいい思い込みと言われても否定はしないが、私の中ではかなり信じられる夢。

 でも、思い込みではなく、本当にマインがそのつもりで行動していたのなら、老犬といえども結構しっかりしたものである。そういうことにしておこうと思う。

 

 

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