老犬とポラロイド

いつまでも続いてほしい、でも決して長くはない、老いゆく愛犬との大切な日々。

<15> 老犬うるうる、内から外から水分補給

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 歯周病対策として、口内ケア以外にしてやれることはないかと考えているうちに思いついたのが「唾液を増やすこと」だった。

 人間の歯周病でもそのように聞く。唾液は抗菌作用や粘膜保護および修復作用があるという。口の中の汚れを洗い流す働きもする。

 犬にもそれは当てはまるらしい。マインの最近の唾液は特にネバネバしていて、いかにも菌が喜んで繁殖しそうである。直接的ではないが、唾液が増えれば、歯周病の進行を少しでも抑えられるのではないか。

 唾液を増やすための方法を調べてみると、「水分補給」「加湿」「咀嚼」が大切。

 咀嚼はちょっと、今のマインには難しいかもしれないが、「水分補給」と「加湿」はできそうだ。

 まず水分補給を考え直すことにした。体重に対して一日に必要な量はどれくらいだろう。検索してみるといろいろな計算式が出てくるが、おおまかに言えば、体重5キロの犬であれば350mlくらいになるらしい。

 手作りごはんなので水分はかなり入っているはずだが、もともと水をあまり飲まないので、まだちょっと足りない気がする。

 なお、鍼灸治療をしてもらっているH先生によると、マインの場合、水分は無制限でいいとのこと。

 そこで、これまで以上に煮汁を多めに作っておいて、ごはんの後にも、おやつや夜食の時にも、マメに飲ませることにした。トイレに行く回数は増えるが、飲んで出すのは悪くないだろう。

 そして、もうひとつは加湿。

 これはたしかに気になり始めていた。というのは、私自身は暖房をそれほど使わないので、乾燥で問題を感じたことはなく、これまで加湿器が必要だと思ったことはなかった。

 一緒にいるマインも前の冬まではそれでよかったようだ。だが、この冬は冷え(もちろんマインの)が心配なので、暖房を入れることが多くなった。寝ている間も入れたままにしている。

 そうすると、さすがに私も口が渇くのを感じるようになった。

 これはきっとマインにも同じことだろう。やはり老犬を飼っている人の話を聞くと、愛犬のために加湿器を2台置き、室内の湿度を50%にしているとのこと(そこまですると「結露が大変なの!」と嘆いていらした)

 そこで、私も初めて加湿器を買うことにした。もっとも、私とマインの部屋には小型1台で十分である。一日中つけることを前提に電気代重視で超音波式を選択。

 最低限の機能さえ満たせばいいので、デザインはこだわらず、あとは価格で決めた。ワンシーズンで壊れてもそれほど腹は立たない程度。それでも、ミスト量はダイヤルで調整できるし、水を満タンに入れておけば、ミスト量を最大にしても10時間は連続で使える。十分すぎるほどだ。

 しずく型で7色LEDライトがグラデーションで順番に点灯などというのは、どうでもいい……と言っておきながら、置いてみると、なんとなく悪くない気がして点灯させてしまう。いや、ちょっと楽しいかも。

 マインを抱いて近づけ「ほらほら見て見て、ね、光ってるよ、色が変わるんだよ」と言ってみたが、反応はなし。かつては家の中に新しいものがあると、においを嗅いだり、つついたりしていたけれど、そういう心配はしなくてよくなったのだと思う。ぶつかりはしないので、何かがある程度には見えているのだろうが。

 こうして、老犬を内側と外側の両方から潤す計画は進行中である。水分をしっかりとらせるのはやはりいいようで、「う」がしっとりしている。定期的にするし、形も量もいい感じだ。

 加湿器を入れた効果としてすぐにわかったのは、フケが出なくなったこと、静電気が起こらなくなったこと。それにマインは目を開けて寝ていることが多いので、目の乾燥の予防にもなるのかもと今さら気づいた。

 当初の目的、唾液が増えたかどうかはわからないのだが、小皿に煮汁を入れて飲ませていると、口の横から膿まじりのよだれが垂れて出てくるので、それを絡め取ったり、こすり取ったりはできるようになった。

 保温に保湿。温めたり、湿らせたり。あれやこれやと試行錯誤は続く。でも、見ていてつくづく思うが、老犬の時間はたつのが早い。この速度、何かで知っていると思っていたのだが、そうだ、子犬が大きくなる時と同じだ。少しでも、少しでも、時間を無理なくゆっくり、穏やかなものにしてやれるなら。何かしてやれるなら。

 自分の不調は相変わらず放ったらかし。諸々思うところはあるが、マインの方がもう年上なのだから、まずはマイン優先で。でも、寝ている間に口が渇くのは、加湿器のおかげでかなりマシになった。 

 

 

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